剣道の今


全日本剣道連盟“昇段審査”などで金銭授受


全日本剣道連盟が行う居合道の昇段審査などで、受験者が合格目的で審査員に金銭を渡す不正行為が長年にわたり行われていたことが分かった。連盟は関与した審査員らを処分している。
全日本剣道連盟・中谷行道常任理事「称号・段位は権威の源であり、大変重要なもの。金銭の授受があったことは絶対に許してはならない」
全日本剣道連盟によると、2012年の「範士」の称号を得るための審査で、受験者の男性が7人の審査員に合計およそ100万円を渡していたという。
また、2016年にも、「八段」への昇段審査で別の受験者の男性が審査員に配ってもらおうと、自分の指導者におよそ200万円を渡していたという。指導者は、金銭を審査員に配らず、男性に返金していた。
連盟は「金銭を授受する不適切な慣行が古くから存在した」と認めた上で、この指導者に段位を返上させ、審査員を公式行事への出場自粛処分とした。

    
  汚された伝統武道… 全日本剣道連盟居合道昇段で金銭授受が横行「誠意や。カネやないか」

2018.8.18
  
 全日本剣道連盟張富士夫会長、全剣連)の「居合道」部門で、最上位の八段への昇段審査などの際、審査員に現金を渡して合格させてもらう不正が横行していたことが17日、分かった。受審者が払う現金は合計で数百万円に上ったケースもあるとみられる。現金を要求された男性が告発状を内閣府公益認定等委員会に提出した。アメフト、ボクシングとスポーツ界で相次ぐ不祥事。伝統の武道にも不正がまかり通っていた事態に衝撃が走っている。
 同日の産経新聞が報じた。居合道部門では、初段~八段の段位審査のほか、高段者が主に得ることができる「錬士」「教士」「範士」の3つの「称号」の審査がある。最高位は八段範士。関係者によると、主に八段や範士への審査時に不正な金銭授受があった。
 八段は1~2次の実技科目で審査され、審査員は1次が6人、2次が9人。範士は実績や人格面を考慮した書面によって10人の審査員が合否を判断する。審査員はいずれも主に八段範士が務める。
 関係者によると、受審者は、審査員も兼ねる居合道委員会の委員ら仲介者を通して、大半の審査員に現金や手土産を渡し、八段や範士を不正に得ていた。

 こうした現金や物品の授受は長年、常態化していたとみられる。かつて仲介役として受審者から現金を預かり八段に合格させようとした九州地方の男性は「事実上、金で段位や称号を買うシステムだった。実力だけで合格した人はほとんどいないのではないか」と証言した。

 全剣連は「居合道」部門で金銭授受の不正が常態化していたことについて、事実関係を認めている。
 不正合格をめぐっては、連盟会員の男性が今年6月、内閣府公益認定等委員会に告発状を提出。「剣による人間形成」を旗印とする組織で“肩書”が売買されていた格好だが、告発状などからは、既得権益におぼれた審査側と、名誉欲に走る受審者とのいびつな共存関係が浮かぶ。
 「誠意やないか。カネやないか」
 2012年3月。告発状によると、関西地方に住む連盟会員の男性は、居合道の称号で最高位の「範士」審査を目前にして、そう迫られた。相手は全剣連の専門委員会「居合道委員会」の委員で、要求額は合計650万円。委員長や自身にそれぞれ100万円、残りの委員にも50万円ずつ-という内訳だった。同委員会は競技人口の少ない居合道の普及や振興などを一手に担っており、当時は委員が範士の審査員も兼ねる状況が続いていた。男性はこうした慣習に反発し、支払う意思がないことを伝えた上で、八段範士となっていた人物らに相談した。

 ただ、「お金はかかるものだ」「私も(審査時に)お金をもらったことがある」。さらには「口に出してはいけないものがある。墓場まで持っていくもんや」との“警告”まで受けた。
 男性は13年、全剣連に不正合格の実態調査などを求める嘆願書を提出したが、動きはなかった。

   
 全剣連などによると、今年6月現在で八段は全国で約200人、範士まで持つのは約50人。審査は八段が年2回、範士は年1回に限られ、毎年の合格者は数人程度の狭き門だ。
 関東地方に住む七段で教士の男性は、八段や範士の有資格者を「多くの会員から尊敬を集める雲の上の存在」と評する。その上で「そんな人たちが、実力ではない形で今の地位に上がったり、その地位を利用したりして金を得ていたとすれば残念だ。命をかけて邁進してきた道が、汚されてしまった」と嘆いた。
 ■段位と称号 段位は初段から八段、称号は「錬士(れんし)」「教士(きょうし)」「範士(はんし)」がある。全剣連は段位について「精神的要素を含む技術的力量」、称号は「指導力や識見などを備えた人としての完成度」を示すものとそれぞれ規定。基本的に称号審査は六段以上にならないと受審資格がない。段位、称号を通じ、最高位は範士
 居合道

 剣道の「立ち会い」の対義として、不意の襲撃などに応じて座った状態から刀を抜く抜刀術を武道化したもの。剣道における昇段審査の実技科目は主に1対1の実戦形式だが、居合道では全剣連が定める内容の「形」を制限時間内に披露する。個人による演武で防具などは着用しない。「居合道称号段位審査実施要領」では、審査員は受審者の心の落ち着きや気迫、風格などを総合的に判断すると規定している。


レスリング、アメフト、ボクシングと、今年に入っていろいろ問題が発覚しているが、今度は「いまさら」の観がある剣道連盟の居合道昇進に関して、審査員への金品贈与のことがニュースになっている。
しかし、このことは私のような剣道連盟とは殆ど縁のない者でも知っているように、武道・武術の関係者には広く知れ渡っていることで、自分の実力がなくても、そうまでして段を欲しがる姿は、実力のある武術関係者の笑いの種になっていた。


嗤って流しているだけじゃ、是正されないのに、それでいいのか?
それではいかんと正そうとしないで嗤っているだけってのも、情けない話では?

実際に自分の身を暴漢から守ったり、用心棒に雇われたりするために必要とされた技能の時代であれば、皆が身に着けたがって習う人も多かっただろう。

武器の携帯は今の日本では許されない。
空き巣に遭遇したときに、木刀で立ち向かうくらいだろうか。
空き巣が手ぶらであればの話だけれど。

実質がないから、3段と4段の違いもどう区別するのか明確にしようがない。
しかし、何かあった時、得物に頼って構えられる心得があるならば、
夜の押し込みにも毅然と立ち向かえるような気もする。
あくまで気もするというだけだが。
そう言う時、警察に電話しているような余裕は持てないだろうから。
どうやって自力で逃げるか。
素手よりは棒を持ちたい気がする。