露わになった日本のスポーツ界の異常性

露わになった日本のスポーツ界の異常性

露わになった日本のスポーツ界の異常性

「健全な精神」と「健全な肉体」はまったく別物だが・・・

2018.8.14(火) profile 筆坂 秀世


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 麻薬に手を出したプロ野球選手もいれば、悪質なタックルを選手に強制したアメフトの指導者もいた。こんな例は枚挙に暇がない。健全な精神と健全な肉体は、まったく別物であり、何の関係もないということだ。
 7年前に制定された法律に、「スポーツ基本法」というのがある。その前文でスポーツについて次のように定義されている。「スポーツは、心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得、自律心その他の精神の涵(かん)養等のために個人又は集団で行われる運動競技その他の身体活動である」。
 ここでもやはりスポーツは「健全な精神」と結びつけられているのだ。確かに「精神的な充足感」や「精神の涵養」と結びつくこともあるだろう。今、夏の甲子園の真っ最中だが、甲子園出場は、すべての野球少年が目指す夢の舞台である。ここに出場し、戦いに勝利し、ナイスプレーをした選手の充実感は言葉では言い表せない程のものだろう。
 だが、それが「健全な精神」と必ずつながっていくわけではない。

日大チアリーディング部で育まれた「卑怯な精神」

 日大では、チアリーディング部でも女性監督によるパワハラが判明し、監督を解任されることになった。女子学生を「お前」呼ばわりし、口汚い言葉を吐き続ける様子がテレビでも放映されたが、この監督に「スポーツによって健全な精神が育まれてきた」とは、到底、思えない。
 しかも、この許しがたいパワハラ、いじめを眼前に見ながら、先輩や同級生の女子学生は誰一人助けようとするどころか、監督の意に沿っていじめに荷担していたというのだ。「健全な精神」どころか、「卑屈で卑怯な精神」を身につけてきたということだ。スポーツは素晴らしいが、それがすべてではないということだ。

日大アメフト部の学生はなぜ立ち上がらないのか

 7月31日、日大アメフト部が関東学連に提出した改善報告書に対して、関東学連の検証委員会が答申を行っている。この答申によって日大アメフト部のリーグ戦復帰は認められなかった。この答申には、日大アメフト部だけではなく、日本のアマチュアスポーツ全体が教訓にすべき貴重な指摘がなされている。
例えば、日大アメフト部の学生に対して、次のような指摘がなされている。
「日大アメフト部の学生たちには、学生スポーツ選手に求められる、高等教育を受ける学生としての、またスポーツ選手としての、社会的な成熟、倫理観、常識などの欠如があった(その結果、選手が主体的に考え行動するより、思考停止して監督の指示にただ従えば良いとするチーム体質であった)といえるのである」
 このような傾向は恐らく日大アメフト部だけではないだろう。中学、高校、大学など、どの段階でも監督の指示を絶対化し、選手の自主性や創造性を奪うような指導が野球などでもはびこってきたのではないか。近所の小学校のグラウンドで少年野球チームが練習をしているのを時々見かけるが、監督かコーチの大人が常に怒鳴り散らしていることがある。これなどは「恐怖の支配」である。
 日大アメフト部がリーグ戦への復帰が認められなかった最大の理由は、田中英壽理事長が、無責任な対応に終始したことだろう。いまだ記者会見すらしていない。時々、漏れてくる発言も「俺はアメフトと関係ない」「そのうち収まる」など、まったく反省のかけらもない発言ばかりであった。

この点は答申でも、「日大の理事長が、今回の事件の真摯な反省と共に、『保健体育審議会を含め競技部を統括する組織の改革をトップダウンで進めていく』『同じような事件を二度と起こさないためにも、組織改革は必ずやり遂げる』等のメッセージを言明していれば、それは日大内部に対する強力なメッセージにもなり、対戦相手や社会が受ける印象はだいぶ違ったものになったであろう」と厳しく糾弾している通りである。
 私が不思議に思うのは、この局面に至っても日大アメフト部の学生が、田中理事長の責任を追及するために立ち上がらないことだ。田中理事長こそ、リーグ戦復帰の最大の障害物ではないか。3年生、4年生といえばもう成人である。小中学生じゃあるまいし、いつまで「パパ、ママ」頼りなのか。父母会があれこれ言ってもらうなどというのは、恥ずかしいことだと思わないのだろうか。
 選手みずからが記者会見を行い、田中理事長に理事長としての責任を果たすよう要求してはどうか。検証委員会が期待しているのは、そういう学生に成長してほしいとうことではないのか。

スポーツ庁JOCは何をしているのか

 連日テレビを賑わしている山根明なる人物。今やまるでキャラが立ったタレントのようである。暴力団との交際を公言し、審判不正も平気で行う。こんな人物が日本アマチュアボクシング界を牛耳ってきたのである。何をしゃべっても、「てにをは」が無茶苦茶、主語、述語も無茶苦茶で意味をくみ取るだけでも苦労するような人物である。「私は歴史の男です」などは、その代表だ。記者を集めて「辞任します」と言ったが、ここでも何を辞任するのか不明というありさまで、各テレビが専門家なる人を集めて、ああだ、こうだと解釈を述べ合うという場面が連日放映されている。
 それにしても、この程度の男に牛耳られてきたのかと思うとアマチュアボクシング界の先行きに不安を覚えてしまう。
 このアマチュアボクシング界の現状について、JOC日本オリンピック委員会)やスポーツ庁は何も知らなかったとは思えない。こういうことはおのずと知れわたる物だ。まったく知らなかったとすれば怠慢だろう。
 ところがJOCの竹田会長は、「五輪を前に、スポーツのイメージを悪くしているので非常に残念」と他人事のように述べるだけだ。JOCは事実関係を解明するため、日本連盟に第三者委員会の設置を要請しているが、今の連盟にその能力があるとは思えない。JOCが直接乗り出すべきではないのか。

 山根辞任に対して、スポーツ庁鈴木大地長官は「遅きに失した感はあるが、一歩前進。これで終わりではないので、連盟の運営をどうするかを含め、しっかりやってもらいたい」と述べると共に、山根会長の影響力がボクシング界に残る可能性に懸念を示し「身を引くことを希望している」と述べている。
 希望では駄目である。スポーツ庁JOCの前で「腹を切る」とまで啖呵を切ったのが山根明である。スポーツ庁に呼びつけて、ボクシング界から一切身を引くように求めるぐらいのことをやったらどうか。スポーツ庁長官は、評論家ではないことを示してもらいたいものだ。

(テレビや新聞のみを情報源にしている高齢層の代表の意見と言う感じだな。
JOCが真っ当な裁断を下す健全な組織だという先入観でモノを言っている。
JOCとは各競技団体の集まりであり、国から降りる強化費を取りあいし、どう分けるかを決める金の使い方を決める団体のこと。メダルの数や色、あるいは人気などが、
公金の割り振りを決める際の、交渉カードになっているだろう。
競技団体が五輪のメダルを特別にとらえる意味は、IOCからメダルに応じて強化資金が割り振られることもあるはず。一般に名が売れることも、大きい。
いずれの競技も霞を食っては生きていけない。誰かが金の面倒をみてやらないと続けられないのがアマチュア競技だ。現実的な話として。)


脅していた金庫番の女性はフィギュアスケート出身者
山根明会長だけじゃない 日本ボクシング連盟にいる「女帝」

山根会長だけではない ボクシング連盟に巣くう“女帝”の正体


 日本ボクシング連盟の問題は山根明会長(78)が批判の矢面に立たされているが、告発した「日本ボクシングを再興する会」の関係者は、「山根会長の退任は当然のこととして、それだけで済みません。問題の人物はまだいる」と言う。
 そもそも今回、都道府県連盟幹部ら333人が関係機関に提出した告発状は、助成金の不正流用がきっかけだ。
 2016年リオデジャネイロ五輪代表の成松大介選手(28=自衛隊)に対して、日本スポーツ振興センター(JSC)が交付した240万円の助成金が連盟の指示で3等分され、別の2選手にも渡されていた。
 一連の疑惑を全面否定している山根会長は、この助成金に関してだけは「私の指示で3等分した」と認め、「ルール違反と知らなかった」と釈明しているが、告発人が問題視しているのは、この不正流用に関して連盟幹部が隠蔽工作を図ったことである。
「問題が露見しそうになるや、連盟幹部が成松選手を東京事務所に呼び出して、『会長の命令って言うとおかしくなっちゃう』『3人のうち誰って絞れなかったから来たんだと、だから2人に分けてやったと言ってくれるとうれしいなという感じ』『あなたの気持ちでやってくれたのならばマルなのよ』『会長の命令でやったってなると、会長が絡んでくるから』『成松君に来たものは成松君が誰に使ってもいいのよ。女に全部やってもいいのよ』などと言って隠蔽を図ったのです。この隠蔽工作を主導したのが、連盟の内海祥子常務理事です」(再興する会の関係者)
■預金通帳に記された証拠
 くだんの不正流用が問題視されると、内海理事は成松選手に電話をかけ、別の2選手に渡った助成金160万円を“あなたに返す”と一方的に告げ、成松選手の戸惑いをよそに、翌日には銀行口座に160万円を振り込んだ。それをラインで連絡してくると、<心配かけてごめんね><160万円は、会長が出してくださいました>と幕引きを図ろうとしたというのだ。
 告発状には、東京事務所やラインでのやりとりが克明に記され、内海理事からの振り込みが確認できる預金通帳も証拠として示されている。
 そのうえで、「不正流用に関わる160万円を成松氏の口座に振り込むことにより、本件不正流用自体の隠蔽を図った」と断じている。
■第三者委設置を発表も…
 12の告発事実が記されている告発状には、助成金の不正流用だけではなく、他の問題についても内海理事の名前が登場している。日本ボクシング連盟の女子ボクシング委員会副委員長も兼ねる内海理事は山根会長の側近中の側近といわれ、助成金隠蔽工作疑惑に関する一連の言動を見れば分かるように、ドンの手足となって動き、また、必死に守ろうとしている様子がうかがえる。
 再興する会の関係者は、「内海理事は連盟の金庫番的役割も担い、そういう意味でも山根会長と極めて近しい間柄。内海理事のバックに山根会長の威光を見るボクシング関係者は多く、一部では『女帝』とも呼ばれた。彼女を筆頭とする連盟幹部に数多くいる忖度族の存在が山根会長を増長させ、それが連盟のコンプライアンスを機能不全に陥らせた大きな原因」と見ている。
 日本ボクシング連盟は6日、JOCなどからの要請を受けて、告発された事案を調査する第三者委員会を設置すると発表した。JOCなどは、執行部から独立した中立的なメンバーを公表したうえで、9月28日までに調査結果と組織運営について文書での報告を求めているが、多くの幹部が山根恐怖支配体制を支えてきただけに、第三者委員会の人選を含めて厳しい監視の目が必要だ。


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帰国ではなく、当時なら密入国なのか。
韓国は近年まで日本のソフトを厳格に輸入禁止にしていて、日本製ドラマ、映画、アニメなども絶対に放送されなかった。
それが一部緩和された時のニュースを覚えている。
今から思えば韓国政府は人民の流出を恐れたのかも。


ボクシング第三者委にダメ出し「利害関係がないと書いてない」
JOC、JSPOが指摘
デイリースポーツ/神戸新聞社
2018/08/22 15:56

 日本オリンピック委員会(JOC)と日本スポーツ協会(JSPO)は22日、日本ボクシング連盟が設立した助成金流用や、山根前会長のパワハラ行為などに対する告発状の内容を精査する第三者委員会が、日本弁護士連合会のガイドラインに準拠するかどうか等を検討する合同チームを立ち上げ、都内で第1回会議を行った。
 チームリーダーとなった弁護士の菅原哲朗委員は「会合の中で出たが、通常、第三者委を設置した場合、『中立で、利害関係がない』ことを明記するが、(20日のボクシング連盟の発表には)それがない。書面として求めていく」と、いきなりダメ出し。弁護士としての情報の中で、中立性について「疑義はない」としたが、「普通は何を調査するとか目次にして(書面を)作るものなんですが…」と、情報に乏しい連盟の発表に、困惑した様子で話した。
 両団体が第三者委をチェックする組織を立ち上げたのは、初めてのこと。それだけ、ボクシング連盟のコンプライアンスへの信頼がない状況といえる。