東京五輪は欧米時間に合わせる日程

そもそも大会日程すら、猛暑真っ盛りの土用の日本での開催を動かせなかったのも
東京五輪なので、競技時間が選手にも観客にも厳しく、配慮がないのは当然なのだろう。日本の真夏開催にせざるを得ないのも、同じアメリカのスポーツ放映の日程への配慮を求められているからだそう。
日本の気候で大会にふさわしい秋は、アメリカでの有力スポーツ放映が目白押しで
五輪があると邪魔なのだそう。それは日本でもそうかもしれないが。
結局は資金を出すスポンサーの都合で決まるのは、資本主義的スポーツビジネスとしては、最優先が「お金」だからだろう。

なぜ東京五輪の一部競技日程はアスリートファーストの原則を守れなかったのか?

4/17(水) 6:01配信  The Page

東京五輪の競技スケジュールの詳細が16日、2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会組織委員会により発表された。「スーパーサタデー」「ゴールデンサンデー」と“命名”した土日に人気競技を集め大会が盛り上がる工夫はされているが、その一方で米国での独占放映権を持つNBCのプライムタイムの放映時間に合わせて、日本のメダルラッシュが予想される競泳やバレーボールの男女の3位決定戦、決勝、バスケットボールの決勝、女子サッカーの決勝、陸上競技の一部など米国での人気競技の決勝種目が午前から昼に開催されることになった。

 特にアスリートの健康に多大な影響を与えそうなのが、炎天下の屋外で行われる男女400mハードル、110mハードル、男女走り幅跳び、一部投擲種目などの陸上の決勝種目と女子サッカーの決勝。

 その日程について聞かれた組織委員会室伏広治・スポーツディレクターは「決められた期間内で、健康に配慮した中で決めなければならない。サッカーならFIFA、陸上なら国際陸上競技連盟との調整の中、この時間帯がいいとのことで、各競技団体の中には、メディカルチームもいますし、IOCにもメディカルチームがいて、そういった中で全体として考えた中で決められたスケジュールだと思う」と答えたが、理由はよくわからなかった。

 男女マラソンについては暑さ対策として当初の予定よりも1時間繰り上げて6時スタートとなり、50キロ競歩についても5時半スタートとなったことに相反するようなスケジューリング。メディカルチームが意見をしているならば、こんな時間に試合はさせないだろう。特にサッカーは、運動消費量が激しい。熱中症に襲われる選手が出てくるという不安がある。

 組織委員会の説明によると、競技スケジュール作成には、アスリートファースト、IF(各国際競技連盟)の意見、競技の人気、ジェンダーバランス、円滑な運営など、6つの基準があり、それらを「総合的に判断してスケジュールを策定した」という。

 だが、アスリートファーストという観点で言えば、水泳などの選手は、早朝から準備を始めなければならないなど、コンディション調整が難しい午前中の開催には疑問符がつく。

 海外メディアから同じく米国の放映時間に合わせて午前中の決勝となった2008年の北京五輪では、水泳競技の選手から不評だったことについて質問が飛んだが、室伏スポーツディレクターは「このスケジュールに関しては、IOCFINA国際水泳連盟)の承認を得た。アスリートのアドバイス、意見も聞いてのこと。五輪全体を見ると、地元もそうだが、グローバルオーディエンス(海外のファン)に配慮した。全体的にバランスがとれていると思う。アスリートも事前にわかれば調整可能と聞いている。これに合わせてベストを尽くしてほしい」と答えた。

  室伏スポーツディレクターは、ハンマー投げアテネ五輪の金、ロンドン五輪の銅メダリストで、シドニー五輪から4大会の五輪を経験している。元アスリートが他人事のように話すことに違和感を覚えた。確かに競泳の決勝が午前に開催される日程については、すでに昨年から発表されており、準備の時間は十分にある。どの選手も条件は一緒だが、それでベストパフォーマンスが出せるのだろうか。

また室伏スポーツディレクターは、「陸上決勝が午前9種目、リオ五輪では午前の決勝が8つあったが、今回は9つある。午前にやることでフルスタジアムとなり多くの人に見てもらえる形になるのでは」とも語っていた。まだ水泳は、室内競技で観客に負担はないが、灼熱の新国立競技場に最も暑い時間帯に詰め込まれる観客も、たまったものでははない。だが、組織委員会のスポークスマンの立場にある室伏スポーツディレクターには、こう答えるしかなかったのかもしれない。

 東京五輪組織委員会が決して公言できない理由が背景にある。多額な放映権料を払っている放送局サイドの圧力である

  米国のNBCは2014年のソチ大会から32年夏季大会まで10大会で120億ドル(約1兆3000億円)と言われる巨額の放映権料で北米の独占放映権を得た。
2020年の東京大会と、それ以降で、金額が段階的に違うというが、東京大会には約11億ドル(約1200億円)が支払われる予定で、全放映権料の大きなパーセンテージを占める。NBCは、当然、その放映権料の見返りとして、米国時間のプライムタイムに自国での人気競技を組み込みたい
平昌五輪では、米国で人気のフィギュアスケート競技を午前の時間帯に持ってきたし、2008年の北京五輪でも、水泳、体操、バレー、バスケット、陸上の一部などが午前中開催となった。
 五輪競技を扱う海外のスポーツサイト「インサイド・ザゲームズ」は、この日、「東京アクアティクスセンターで行われる競泳は7月25日から8月2日に行われ、決勝は日本の午前中に行われる。これは国際オリンピック委員会IOC)と国際水泳連盟が昨年に合意したもの。総額で76億5000万ドル(約8400億円)で2032年までの夏季、冬季五輪の放映権を取得したアメリカの巨大テレビ局NBCの影響が大きな要因となったことが考えられる。日本で午前中に決勝が行われることにより、米国プライムタイムでの放映が保証されるだろう」と報道した。
 
 1984年のロス五輪から“ビジネスマン”のピーター・ユベロスが本格的に始めた“商業五輪”は、最低価格をつり上げて入札制度にした莫大な放映権料と、スポンサーを絞ることにより競争が起きて全体のスポンサー料が跳ね上がったスポンサー協賛金の2大収入が柱となっている。1992年のバルセロナ五輪から本格的にプロも解禁され、さらに商業価値が高まった。だが、いつのまにか、アスリートファーストでなくなり、あらゆる利権がIOCに集中して開催地決定を巡って、あの手、この手でアンダーマネーが“IOCサロン”に飛び交い、しばしばスキャンダルが発覚する。クリーンにするために細かいルールが決められているが、そこには、また細かな合法的な抜け穴が存在しており、この大事な時期にIOC委員でもあるJOC会長の竹田恒和氏が汚職疑惑を持たれて辞任するに至った。

 利権も開催費も巨大化する一方の“金のかかる近代五輪”は、再び限界に来ていて、開催立候補都市が激減。固定都市での五輪定期開催までが議論されるほどになっているが、なおさら複数大会の放映権料を担保してくれる放送局、特に一番の“お得意様”であるNBCの意向は無視できないという事態に発展している。実は、アメリカは五輪よりもNFLの「スーパーボウル」というお国柄で、五輪競技の視聴率は、全般的にいいわけではないが、特定の人気競技だけは別モノ。だからこそ、そこで稼ごうと放映時間確保に必死になるわけである。

 だが、この日の会見で、室伏スポーツディレクターは、「放映局サイドからのスケジュールに関して特定の要望があったのか?」と聞かれ「組織委員会が、直接、海外、国内の放送局とコンタクトをとることはない。OBS(オリンピック放送機構)から送られてきたものをどこが送ってきたか想定はできるが、OBSからの要望を協議のもと、IF(各国際競技連盟)と一緒に考えていく。何か具体的な放送案件があったとは明確には言えない」と不明瞭な回答しかできなかった。

 北京五輪では午前中に開催された体操男女の団体、個人総合の決勝を東京五輪では夜に持ってきたのが、せめてもの“東京の抵抗”だったのかもしれない。だが、アスリートや世界中から東京に足を運ぶ観客、アジアのテレビ視聴者の立場からすれば「多額な放映権料を払う米国放送局の意向だから仕方がない」では済まされない。
五輪は誰のためのものなのか。このスケジュールを決めた人々は辞任した大臣が読んでいなかった五輪憲章をもう一度読んだ方がよかっただろう。

 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)


Yahoo!コメントから

大半が欧米向けのタイムスケジュール。開催地の意味がない。
この際、五輪憲章に“開催地の場所に関わらず、選手ファーストではなくスポンサーや欧米に合わせたタイムスケジュールで競技を行う。”って一文を追加した方がいい。
こうなってら何かしらの競技を見に行こうと思ってが、テレビで見るよ。



オリンピック自体が商業イベントになっているのだから、アスリートファーストだけでは考えられないのは当たり前だと思う。
大体、日本の夏でやる時点で、アスリートファーストではないと思う。アスリートもTVで放映されて、有名になって収入につながるという恩恵もある、必ずしも単純に否定できる話ではない。
できる範囲で、なんとかアスリートがベストパフォーマンスができるよう、工夫した運営するしかない。
 


そんなにアメリカやヨーロッパのゴールデンタイムでの決勝を要望するのであれば、もう開催地をアメリカやヨーロッパに固定すべきだと思う。

お金を多く出すからというだけで、選手の意向を無視し金の為に何でもやる様な組織では、本当に五輪なんて開催しなくてもいいんじゃないか?

まあ、今回の東京五輪では、復興を強調している割には、岩手・宮城・福島での競技の開催数が少ないのも何故なんだろうと思う。
あれだけ復興五輪というのなら、せめて野球とかソフトボールとかの決勝戦は被災地でやる様な事考えてもよかったんじゃないかと思う。

あれじゃ、「復興」うを使った詐欺に近い形だと思う。
あんな少ない競技で予選しかやらないのであれば、復興なんていう言葉を使ってもらいたくない。



NBCIOCと契約している金額は、夏冬合わせて10大会、120億ドルだってな。1兆2000億円。

そりゃ、これは縛られるし、これだけの放映権料を払える企業はなかなかいない。

オリンピックってたしかに良いんだけど、こういう所を見ると、アメリカでやれば?って思うわ。
選手に気の毒だし。

NBC側がはっきりと選手優先のスケジュールにしろと言わない限り、しばらくこの状況が続く。

いっそ、アメリカでやったらいいと思う。
日本で開催されるのは喜ばしい事ではあるけど、出来ればNBCのことなんざ無視して選手達にとって一番良い時間帯でやってもらいたかったな。

まあ、そもそま日本でやるなら春か秋がベターだし、やらないのがベストだという意見もあるだろうけどね。


山下泰裕氏、JOC新会長に就任へ

4/5(金) 19:01配信 朝日新聞社   

6月末の任期満了で退任する日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(71)の後任に、全日本柔道連盟会長の山下泰裕常務理事(61)が就任する見通しとなった。関係者への取材でわかった。新会長の任期は7月から2年間で、JOCは山下会長のもとで2020年東京五輪を迎えることになる。

【写真】1984年ロサンゼルス五輪で金メダルを獲得した山下泰裕氏。決勝では、ラシュワンを抑え込んだ

 JOC会長は現在10期目の竹田氏の続投が既定路線だったが、五輪招致に絡む買収疑惑で、本格的に仏司法当局の捜査対象になったことが今年1月に明らかになった。竹田氏は3月の理事会で疑惑を否定しつつ、「若いリーダーにJOCを託すのがふさわしい」と退任を表明していた。

 山下氏は熊本県出身で、1984年ロサンゼルス五輪の柔道無差別級で金メダルに輝き、同年10月に国民栄誉賞を受賞。85年の引退後は国際柔道連盟理事などを務めた。JOCでは2013年に理事に就任し、17年から選手強化本部長を務めている。クリーンなイメージで国内外に人脈が広く、白羽の矢が立った。

 JOCは6月27日の評議員会で新理事を選出。新会長は7月4日の理事会で、新理事による互選で正式に選ばれる。


山下泰裕氏の主な経歴

1977年4月 全日本柔道選手権初優勝。以降、85年まで9連覇

79年12月 世界選手権95キロ超級で初優勝

84年8月 ロサンゼルス五輪柔道無差別級で金メダル

84年10月 国民栄誉賞を受賞

85年6月 現役を引退

96年4月 東海大学教授に就任

2003年9月 国際柔道連盟(IJF)理事に就任

06年4月 神奈川県体育協会長に就任

13年6月 日本オリンピック委員会(JOC)理事に就任

15年8月 IJF殿堂入り

17年6月 全日本柔道連盟会長に就任

17年7月 JOC常務理事に。選手強化本部長にも就任


ナベツネの言ったという「たかが選手」という言葉は、
経営者こそが上位で、選手というのはサーカスの見世物的、芸をして見せる動物のような位置づけだからかもしれない。
ライオンが不調なら熊の芸に差し替えればいい。

そんな中でIOCの会長が交替し、スポーツ畑の出身ではない名誉職的会長から
五輪の出場経歴をもつもと選手に変わった。
説明を受けて認可するだけしかできない人よりも、実体験から判断できることが多くなるだろうか。
まったく組織はトップ次第。

しかし、先立つものがなければ、スポーツなどは非生産的活動に過ぎなくなる。
大多数のものがスポーツを見るという意味は、テレビ中継を見るという意味だ。
動画を見る行為はテレビに限らなくなっているからこそ、
中継する権利争いもし烈かもしれない。