大坂なおみとテニス協会のフクザツ


大坂なおみの「世界1位」を手放しで喜べない

テニス協会の胸中

1/31(木) 9:26配信 日刊ゲンダイ

日本テニス協会はもとより日本全国民が大変喜び、称賛しています。全米オープン優勝のとき以上にまわりの選手からも研究され、プレッシャーも大きい中での優勝は本当に素晴らしいことと、心より敬意を表します」

 大坂なおみ(21)が昨年の全米オープンに続いて全豪も制覇、4大大会を連覇したことに関して、こうコメントしたのは日本テニス協会畔柳信雄会長だ。

■男女通じて破られない記録

 大坂は現在、日本と米国の二重国籍だが、選手登録は日本。昨年4月の国別対抗戦フェド杯で代表になったため、国籍移動を3年間禁じたオリンピック規則により、2020年東京五輪は日本代表としてしか出場できない。本人も母親の祖国で行われる五輪への出場に前向きだそうだから、日本のエースの快挙を協会が手放しでたたえるのは当然と思ったら、本音は別だという指摘がある。さる放送関係者が声を潜めてこう言った。

「大坂はまだ21歳の伸び盛り。この調子で勝ち続けたら、それが日本記録になってしまう。錦織が4大大会どころか、それに続くマスターズすら勝っていない現状を考えたら、大坂はおそらく男女を通じて未来永劫、破られない不滅の記録を打ち立てることになります。そうなると後に続く人たちには、夢も希望もなくなってしまう。揚げ句の果てに、大坂に米国籍を取得されたら目も当てられませんからね。テニス協会にとって、今回の快挙は痛し痒しだと思いますよ」

■フェド杯、五輪は重要な財源

 いまから1年前、全豪4回戦だった大坂の世界ランクは53位に過ぎなかった。たった1年で世界の頂点を極めてしまったことで、協会は「痛し痒し」どころか、むしろ打撃を受けるという見方もある。

「大坂は一躍、世界のトップに躍り出てしまったことで日の丸どころではなくなった」と、別のマスコミ関係者がこう続ける。

「大坂は昨年、フェド杯に出た。当時はまだ、4大メジャーどころじゃなかったが、頂点に上り詰めたいまは訳が違う。東京五輪には出るだろうけど、基本的にはツアー優先でランキングを維持する必要がある。
ただ、テニス協会にとってフェド杯や五輪は重要な財源です。
フェド杯は分配金があり、五輪は何より結果が求められる。
JOCの助成金に頼るところは大きい
フェド杯や五輪で結果を出さなければカネも施設も満たされないのに、
大坂は一足飛びでツアー優先の選手になってしまったわけですから

■協会幹部が玉拾いの手伝い

 錦織は16年のリオ五輪で銅メダルを獲得したものの、本心は出たくなかったのだろう。「(ゴルフの)松山君が出ないというのを(ネットで)見て、僕もあまり出たくないなと思いました」と話したことがある。リオ五輪は照準を合わせていた2つのマスターズのちょうど中間にあるうえ、その年から五輪がツアーポイントに加算されなくなったことも大きかったに違いない。

 だからこそ協会は「愛国心」や「日の丸」をエサにして錦織を五輪に引っ張り出そうともくろんだし、五輪で商売したいスポーツ紙もまるで協会のたいこ持ちみたいに出場ムードをあおった。

 錦織は結果として五輪に出場、メダルまで獲得して日の丸に貢献したが、二重国籍の大坂に東京五輪以降も日の丸を背負わせることができる保証はどこにもない。

 まして大坂はすでに世界の頂点を極めたテニス界のトップ選手。早くも5月下旬の全仏や7月の全英(ウィンブルドン)も勝てるのか、世界中で注目されている。今回の快挙で、協会が大坂を日本という枠に閉じ込めておくことはいっそう難しくなった。

 全豪の行われたメルボルンには協会幹部の姿もあった。その中のひとりは、大坂の練習の球拾いの手伝いをしていたとか。今後とも五輪やフェド杯をよろしくというつもりかもしれないが、大坂はもはや「日の丸」より「ツアー」優先。サーシャ・バインとアブドゥル・シラーの2人を中心とした指導体制も出来上がっていて、協会の入り込む余地はない。自分たちにできるのはそれくらいしかないという、苦しい現状を象徴する光景だった。


>大阪なおみ選手の国籍について意識高い人たちからの揶揄が多いけど、
テニス選手は育成システムの関係から出身国に限らず 幼少期からアメリカで過ごしている人が多いので、世界ビジネスのためにIMGはできる限りアメリカ以外のルーツ国の国籍を選択させている。というコトを知らない人ばかりなんだよな。